石を割って叩く


飛騨高山の古い町屋の再生。
1階の土間と江名子川に面した庭には、地元で採れる石を敷いてもらいます。

石敷き工事を依頼したのは、石切場のすぐ傍で営まれている岩滝石材さん。
石の切り出しから加工、敷き並べまで一貫して工事していただきます。

石切場を訪れる



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セットウ(石割り用の金槌ち)とコヤスケ(石割り用の先の尖ったノミのような道具)という、
至極シンプルな道具だけで、見事に石を割って成形していきます。


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表面の荒し加工は、エアーハンマーも使っています。


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一個一個、地道な手作業。
これを大小100個程も、敷き並べていていただくことになるでしょうか。




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石切場を訪れる

飛騨高山市の滝町に残る石切場を訪ねました。
この石切場で採れた石が、上三之町の用水側溝や千光寺の108段の石段、
宮川や江名子川の護岸石積みなどに使われています。
石切場を切り盛りしているのは、直ぐ傍にある「岩滝石材」さん。



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この岩壁は、65万年も前に飛騨高山の東35キロの距離にある活火山の焼岳(やけだけ)から、
ここまで流れ下って来た火砕流が冷えて固まったものだと言われています。
淡いながらも柱状節理(ちゅうじょうせつり)が表れているのもその証し。

地質学上では、
「焼岳西側から噴出した上宝火砕流(かみたからかさいりゅう)による、
流紋岩質 溶結凝灰岩(りゅうもんがんしつ ようけつぎょうかいがん)」
との分析がなされています。

地元ではこれを「砂岩」(さがん)とか「砂岩質石」と呼ぶ方もおられるようですが、
「溶結凝灰岩」(ようけつぎょうかいがん)というのが本当です。


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地上部分の高さは10メートルを超え、
さらに地下にも深さ10メートルの層となっているのだそう。


永い年月をかけて、岩壁の上には土が積もり、草木が生い茂っているのです。


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岩滝石材さんは、この岩壁に直接張り付き、
ドリルで穴をあけ鉄のクサビを打ち込み、巨石を割り落とします。

そして、昔ながらの石工の道具である、
「コヤスケ」(石割りノミ)と「セットウ」(石用のカナヅチ)を使って石を成形加工していくのです。




千光寺の石段の仕事を請け負った際に、
新たに石切りの大型機械を導入したので、今ではスライス加工もできるそうですが、
以前はほとんどが手作業だったようです。


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スライスしたての石肌はまだらな濃灰色。


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スライスされた石の面をよく見ると、
垂直断面は小石が押し潰されたように見え、水平断面は小石がレンズ状に広がって見えます。
これは、火砕流が固まる際、その自重圧や溶結時の圧力で小石が押し潰された結果です。


所々には木片のような、有機物の残りカスが含まれていて、
火砕流が樹々をなぎ倒し呑み込んでいった様子をうかがい知れるのです。


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原初的な道具を使った斜め筋掘りとハツられた石。
御影石のような硬い石ではなく、手道具での加工が比較的しやすかったこの石は、
飛騨地方に多く残る道祖神(どうそしん)の素材でもあります。

表面加工されたばかりの石は、少し明るい灰色になりますが、
多孔質で吸水性(吸収性)があるので、しだいに茶褐色にサビ色が出たり、三和土のような土色になったりと、
周囲の環境に同化しつつ風化していくのです。


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見た目の風合いだけではなく、太古のロマンを感じさせるこの石を、
是非とも、hausgrasが手掛ける古い町屋の改修に使いたいと思っています。




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飛騨の町と社寺に息づく砂岩(さがん) 東山と千光寺

飛騨高山旧市街の東の縁、東山に数多くある古い神社やお寺をつなぐ東山遊歩道。
地場の砂岩(さがん)をいたるところで使われています。



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雲龍寺へ参道。
草が被る砂岩の石畳は、近隣の方々の生活小路でもあります。


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雲龍寺 鐘楼門直下の砂岩の石段は、苔さえも枯れて風化しその跡が残り、
永い時間が経っていることを感じさせます。




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こちらは、高い杉木立ちを縫って上がっていく東山白山神社の参道。


杉林の日陰と湿度の中、いつも水気を吸っているので、
砂岩の石段はすっかり苔むし、他で見るよりも色濃く重そうなのです。


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砂や火砕粒が固まってできた砂岩は、吸水性があり苔むし易い石です。
接している土地とも同化しやすく、場所によっては三和土(たたき)に見えたりと、
なかなか趣きを感じる石です。




東山を離れ、高山市郊外の袈裟山 千光寺(けさざん せんこうじ)へ。
1600年前に開山した飛騨随一の古刹で、
今から330年前くらいに円空が千光寺に滞在して、
多くの円空仏を遺した(63体)ことでも知られています。

千光寺の仁王門から本道まで導く108段の石段が、
昨年、2年の歳月をかけ、地元の砂岩で改修されたと聞き訪ねてみました。



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この石段を昇ると本堂が建っています。
戦国時代に全山燃やされてしまいましたが、1589年に金森長近が再建したものだとか。


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広い青空に壮麗な杉木立ちと本堂。


南の眺望。
山麓の田園風景とその奥に御嶽山、乗鞍岳、位山が。


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この杉も本堂と同じ、400数十年生でしょう。




さて、砂岩の石段。


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手ハツリの跡が素朴で荒々しく。


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滑らかな石肌のものや、上三之町で見た斜め筋彫りもあります。


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この千光寺の石段は、岩滝石材さんが手掛けました。
岩滝石材さんは、高山で唯一残っている砂岩の石切場も守っている貴重な石屋さんです。


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砂岩の石切場につづく





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飛騨の町と社寺に息づく砂岩(さがん) 上三之町

hausgrasで飛騨高山市鉄砲町の古い町屋を再生することになり、
1階ギャラリーの床には飛騨地方で採れる石を敷きたいと思っています。

高山の古い町並みが残る上三之町(かみさんのまち)では、
宮川から引いた用水が町屋の前の側溝に流れていますが、
その側溝は高山市の郊外の山で採れる砂岩(さがん)が使われていました。



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あまりにその場に馴染み過ぎているため、それが砂岩と見留める人もいないでしょう。
斜めの筋彫り、あるいは荒ハツリされているのが砂岩です。


黒板の壁の下に砂岩2段積み。


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苔むす砂岩の側溝。
砂岩は吸水性があり、庭石などに使うとすぐに苔むしてくるのです。
それから、割りたての色は明るいグレーですが、
置かれている状況によって茶褐色〜土色〜濃灰色に変わっていきます。




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御影石敷きの町屋の犬走り。砂岩の側溝と板のフタ。


上から御影石の犬走り、砂岩の側溝縁、砂岩の側溝フタ。


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全く出しゃばること無く、ほとんど気づかれること無く。
それでも町の大事な部分を占めて形作っている砂岩。
渋すぎてかえって魅力的に思えてくるのです。


東山と千光寺の砂岩につづく





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益子の大谷石(おおやいし)

先日、北関東の益子を訪れた時に見た大谷石(おおやいし)。
宇都宮市の西にある大谷町で採掘されている凝灰岩です。
軽石のように比較的軽く、加工も楽で昔から地元で使われている大谷石。
私もかつて何度か家づくりの素材として使った経験があります。



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大谷石の産地にほど近い益子の農家では、大谷石の塀が普通に使われています。
大谷石は切り出し直後はみずみずしい若草色をしていますが、
石の中の鉄分が酸化して茶色に変化していきます。
なかには鉄分が少ない大谷石もあり、若草色を保つものもあるようです。



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益子にあるギャラリー&カフェ「starnet(スターネット)」でも、
地元の素材 大谷石がふんだんに使われていました。



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柔らかい大谷石は、風化の進み具合が早いようです。
starnetの建物はそれほど古いものではないと思いますが、
雨当たりが多く人の行き来も多い石段は、とてもよい風合いになっています。


大谷石には植物の緑がよく合う。



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starnet 店舗内の大谷石畳。



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石でありながら、他の石のような堅さや冷たさを感じない、
不思議な魅力を放つ大谷石です。





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