温水 セントラルヒーティング その2

温水 セントラルヒーティングには密閉回路式と半密閉回路式(空気に解放)があります。
循環させる水(温水)は温度によって体積が変わるので、
その体積の変化を回路の中で調整吸収するか、回路の外に逃すか(空気中に逃す)の違いです。

それから、それぞれの方式で使われるパネルヒーターが違ってきます。
密閉回路式では空気中の酸素による酸化腐食の心配がないので、パネルヒーターは安価な鉄製です。
一方、半密閉回路式では循環する温水中に常に新しい酸素が入り込むので、
酸化腐食が起きにくい銅製なのですが、銅製のパネルヒーターは高価です。

私の家では密閉回路式で鉄製のパネルヒーターを使っています。
密閉回路式は配管の気密に配慮した工事をしなければならないので、
配管工として配管気密の知識と経験、熟練した技術が必要になります。
家の設備工事に関わる業者で、そんな技量を持ち合わせた職人さんを抱えているところは多くありません。
ですが、今の北海道の住宅は構造躯体の気密化も定着し通常の仕様になっていますから、
家としての質的なバランスを考えると、設備のシステムとその配管についても、
それ相応の高度な施工を要求してもよいのではないかと思います。

家が高気密化高断熱化されたとしても、
それで家がどういう性質になるのかを理解して、住みながら観察し日常的に関わらないと、
その恩恵を十分に得られないと思います。性能を生かせていないのは残念なことです。

セントラルヒーティングシステムにしても同じことで、
システムを理解して観察して調整していくことが必要です。
うまく調整できてよい室内環境を維持できると、関わることに楽しみと喜びを感じます。








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温水 セントラルヒーティング(全室暖房) その1

温水セントラルヒーティングシステムは北欧で発案され改良、完成されました。

北欧のフィンランド ヘルシンキでは、
発電する時の排熱を利用して温水をつくり、市内中にめぐらされた公共温水配管に流し、
それを各家庭が給湯 暖房(温水セントラルヒーティング)として利用しているといいます。
北欧諸国でみられるエネルギー消費のロスを減らしていくという合理的な考え方が、
そういうシステムつくりにつながっていると思います。

一方、日本 北海道では、
そういう温水の供給サービスはないので、各家庭で暖房用の温水をつくることになります。

ガス、灯油、電気など熱源は何でも可能で、最近はヒートポンプも選択することも多いと思いますが、
それらの熱源用の暖房ボイラー(温水器)で温水をつくり、
その温水を家中にめぐらされた温水配管や窓下に置かれた放熱器などへ
小型ポンプを使い循環させることで家を暖めるしくみです。

北海道にも技術輸入されて、今では珍しくない暖房の方法だと思います。


ボイラーと温水配管。配管は銅管です。

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整然と組まれた銅配管回路のヘッダー部。
1階は浴室回路と外周回路の2系統、
2階は北西回路と南東回路の2系統、
そして外部ポーチのヒーティング回路、
全部で5系統です。
回路の往路、復路それぞれにゲートバルブを設置していて、
回路ごとのメンテナンスや流量調整もできるように配慮されています。

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窓下の放熱器は通称パネルヒーターと呼ばれています。鉄製パネルヒーターです。
システム開発初期のころは放熱器は鉄丸管を使っていたようですが、
鉄管を平たくつぶすことで、室内側の輻射面積を増やして暖かさをより感じやすくしたそうです。

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この暖房システムのよいところは、
窓や外周部などの熱が逃げやすく寒さを感じやすいところに、それに見合った熱を補うことができること。
温度差で発生する冷気流を弱めることができるので、室内の気流感がとても少ないこと。
室内は静かで空気は汚れないこと。
などがあります。

この暖房システム工事は技術や経験がいるので、誰にでもできる設備ではありませんが、
家の設備としては有機的でつき合うのが面白いです。
的を射た調整と使い方ができれば最も効率がよい暖房方法だと思います。







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トドマツ 身近にある木 その2

冬、ほとんどの木々が葉を落としてしまうと、身近にトドマツがあることに気づきやすくなります。
トドマツは冬でも葉を茂らせていて、さらにその葉には雪が積もるので遠くからでもよくわかるのです。

札幌 円山に暮らしていますが、この辺りでもよくトドマツは目にします。

盤渓の道端で見かけたトドマツです。


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樹皮はエゾマツやカラマツと比べると割れていなくて滑らか。
灰緑色で斑紋がある様子はブナの樹皮にも似ているような気がします。

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葉は細いですが、エゾマツ、カラマツのように葉先は針のように尖ってはいません。

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トドマツに由来する地域の名称からも身近さを知ることができます。
福岡イト子著「アイヌ植物誌」によると、トドマツはアイヌの言葉で「フ」と言い、
支笏湖の南にある風不死岳(フップシダケ)は、トドマツが群生する山(フップシヌプリ)という意味があるそうです。







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北海道の森林

昨年末に出版された北方森林学会 編著「北海道の森林」を読みました。
北海道の森林に関わる事象がとてもわかりやすい文章、説明で書かれていて理解が進みました。
樹木に限らず、オゾン、エゾシカ、ヒグマ、エゾヤチネズミ、チシマザサ、タラノメ、ウド、
コクワ、ヤマブドウ、サケ、オショロコマ、アムール川、木炭などの記述もあります。
身近な自然環境を知るにはおすすめの一冊です。

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トドマツ 身近にある木 その1

家をつくるときに身近な素材といえば木を思い浮かべる人が多いと思います。
本州の人ならばスギやヒノキでしょうし、
北海道の人ならばトドマツ、エゾマツそしてカラマツではないでしょうか。

トドマツとカラマツは北海道の気候にあう有用材として植林されてきた木ですが、
トドマツは北海道の自生種でカラマツは本州からの導入種という違いがあります。
どちらの木も戦後たくさん植林されたので、
それから50~60年経った今、建築材として伐り時のものが相当量あるということです。

http://www.woodplaza.or.jp/forest/genjyo.html(←ウッドプラザ北海道の資料ページ)

使うために植えられたのですから、使ったほうが森林資源の循環のためにはよいと思いますし、
地域の気候風土に馴染んで成長した木なので、素材として家づくりに生かしたいと思います。

実際に私の家は柱と梁、外壁の板、室内の床板、下地材と、ほとんどトドマツを使いました。

トドマツの梁の継手「金輪継ぎ」「追掛け大栓継ぎ」です。
比較的柔らかい木なので、複雑な加工もしやすいのではないでしょうか。

トドマツ金輪継


柱梁の軸組みと垂木、間柱もすべてトドマツとしました。
白っぽくて艶があるので、白木のままでは明るい印象です。

トドマツ柱梁


トドマツ床板は厚さ45ミリ幅210ミリで、黒っぽい色のオスモ(オイルステイン)を塗って仕上げています。
特に床板としては足触りが柔らかくて、ヒヤッとした感じがないのでよいと思います。

トドマツフロア

柔らかい板を床に使うと傷がつきやすいのではと考える方もいると思いますが、
私は傷つくことはそんなに気にすることではないと思っています。
むしろ生活していてできた傷というのは、暮らしの形跡といいましょうか、それは住む人の記憶となります。
そういう形跡がだんだん増えていくのも、家の味わいと愛着が増していく気がしてよいと考えています。







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