江川邸 縄文的 圧倒的な素材感

伊豆 韮山にある江川邸に行ってきました。

建築家 白井晟一氏が「縄文的なるもの」として特に紹介している江川邸。

「茅山が動いてきたような茫漠たる屋根と大地から生え出た大木の柱群、
ことに洪水になだれうつごとき荒荒しい架構の格闘と、これにおおわれた大洞窟にも似る空間」

と評しています。



玄関01

どっしりとした門構えではやくも圧倒されます。


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30センチ角のケヤキの柱。
ケヤキの杢目は流れるように力強く優雅です。


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北条早雲が植えたと伝えられているキササゲの樹と正面玄関。
その奥に山の斜面のような屋根が見えます。



7間×7間の土間空間に入ります。


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土、石、木、竹、茅、漆喰、鉄。
素材そのものの力強さを感じさせるのは、太いまま長いまま荒々しいものは荒々しいまま、
均されることなく使われているからだと思います。
そして桁行13間×梁間10間という広さと12メートルの高さは、
それらの素材が組み合わされるボリュームとしては全く適当に思われ、
さらに柱と梁は太く疎ら、束と貫は細く密に、竹は長く斜めに、茅は敷き均し厚く重ね、
重く堅い素材から軽く柔らかい素材へと、上へ上への流れが物理的にも心理的にも素直で明快です。

素材や架構をゼロからとらえ直して組み上げた、人間という動物の巣とも言えるのではないかと思います。
江川英龍をはじめ江川家という精神的巨人の巣です。

使っている素材は同じでも、使い方でこうも違って見えるのかと感慨があります。








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床暖房との違い

「窓下にパネルヒーターを設置する温水セントラルヒーティング」と「床暖房」ではどういう違いがあるか。
この比較は建主(住む人)と設計士どちらにとっても大事なことで、暖房方法を選択するときに思い浮かぶことです。

温水セントラルヒーティングの考え方を大雑把に言うと、熱が奪われた場所に奪われた分の熱を補うという考え方です。

今や北海道では、家全体の断熱性や気密性は確実によくなっていて、同時に窓の断熱気密の性能もよくなってはいますが、それでも壁や屋根に較べて窓は4倍以上熱が奪われやすいということは変わっていません。
窓は外気で冷やされやすくて、窓近くで冷やされた室内の空気がコールドドラフトになり、床上を冷たい空気が流れていきます。それから、冷やされた窓はそばに居る人の体温や室温を奪います。(冷輻射)

そこで窓下に窓で奪われる熱量と同じ放熱量のあるパネルヒーターを設置することで、
冷輻射で奪われた熱をパネルヒーター表面からの輻射熱で補い、窓で発生したコールドドラフトをパネルヒーターからの熱気上昇気流が相殺し、冷たい空気が床上を流れないようにしています。

さらに家の基礎コンクリートを外断熱仕様にすると、床下の温度も室内の温度とほとんど変わらなくなりますから、パネルヒーターまでの床下配管に保温材を巻く必要がなくなりその配管の放熱を利用できます。
床下配管を床下の外周部(ペリメーターゾーン)に沿って設置するようにすると、熱の逃げやすい外周部に熱を補うことができます。

このように温水セントラルヒーティングは放熱量の違う機器や配管を使って、適切に熱の配分をすることができます。つまり熱を無駄なく効果的に使う意図がハッキリあります。

一方、床暖房は部屋全体の温度による制御があるだけなので、部屋の中でもより寒さを感じる窓の近くに必要な熱量を補えません。それで窓の近くが寒いので、必要以上に室温を上げてしまう傾向があります。
室温を上げると室内の乾燥感が増して不快になりますし、燃費も上がってしまいます。



室内に暖房機器や配管が見えない「床暖房」は、建主にとっても設計デザイナーにとっても、スッキリしてよいと思います。でも見えないということは、床の下地の中に埋め込まれているということなので放熱機器のメンテナンスはできません。もし放熱機器が故障した場合は、機器の取り替えと床の張り替えをしなければならなくなります。
それもリビングならリビング全体で一系路となっていることが多いので、改修の規模が大きくなってしまいます。

温水セントラルヒーティングは、いろいろな部材機器を職人さんが現場で組み立ててつくりますから、
もしどこかが漏れたり故障したとしても、部分補修で済むことが多いのです。
配管はメンテナンスを考えれば、極力、表し配管(露出配管)にしておきます。






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