十勝のカラマツ 建築材編

十勝は今、全国で有数のカラマツ産地になっています。
戦後(65年程前)から、炭坑の坑木や鉄道の枕木に将来利用される目的でたくさん植えられてきましたが、
今や坑木も枕木もつくられなくなり、折角育てたカラマツは行き先を失くしてしまいました。

そこで、梱包材や木製パレット(運搬用荷台)として使うことになったのですが、
折角育てたカラマツを、もっと価値ある使い方をしたいという思いが、北海道のあちこちで起こっています。


ただ今、hausgrasで計画中の「音更町の家」は、
幕別町にある「オムニス林産協同組合」が生産している、十勝産のカラマツ無垢材を柱と梁で使うことに。
他にも外壁板、天井板、床板もカラマツの無垢板です。

今回、建主さんと一緒にオムニス林産協同組合を訪問し、代表理事の瀬上さんからお話をうかがいました。

オムニス林産協同組合は瀬上製材所が中心となった木材加工販売の共同体です。




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オムニス林産協同組合の敷地には、驚くほどたくさんのカラマツ丸太が積まれていました。
年間の木材加工量が6万5000立方メートルで、日本国内でも指折りの規模だそうです。



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積まれた丸太のほとんどは梱包材や木製パレットとして小さい部材に加工されてしまいます。
この中にいくつか含まれる大径木や強度の強い丸太などは、建築材となるべく選別されます。



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建築材はスチーム乾燥機で人工乾燥させた後、屋根付きの場所に保管。
柱、梁、床板、羽目板、枠材など、構造用材は全て無垢のカラマツで揃えることができます。



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上に積まれているのは、芯去りで105ミリ×105ミリ断面の柱。
芯を外すには、直径40センチ以上のカラマツ丸太からでしか、木取りすることができません。

下に積まれているのは、芯持ちで120ミリ×240ミリ断面の梁。
300ミリの梁成のものまでは、カラマツ無垢材で用意しているとのこと。
それ以上の断面の梁材も、時期と場合によっては制作可能だそうです。




こちらは30ミリの厚み、150ミリの幅、3.6メートルの長さで仕上げられるように木取りされた厚板。
床材やドアの枠材として使われます。



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建築材の保管されている場所のすぐ脇に、スチーム乾燥機が設置されています。

カラマツは通常、乾燥が進むと次第にネジレが出てきます。
建築構造材として使うために必須とされている、含水率20%以下まで普通に人工乾燥をすると、
カラマツはひどく変形してしまい、そこからの整形が困難になってしまいます。

そこで瀬上さんは林産試験場などの外部機関と協力して、
カラマツのネジレを抑えつつ人工乾燥させる、
特殊な手法(乾燥スケジュール)を考案し実践しているそうです。





でも実は、北海道の冬の室内は過度に乾燥しているので、
木材の含水率18%くらいでは、完成後の割れや反りねじれが抑えられないと言われています。
それはカラマツだけでなく、トドマツやスギでも同じことなのです。

そこで瀬上さんは、そんな現場からの要望に応えられるよう、
含水率10%以下の乾燥材を目指して、さらに研究を進めているようです。



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この角材は、新たな乾燥スケジュールを経たカラマツのテストピースの切れ端。
ただ今、林産試験場で乾燥実験の結果測定をしているとのこと。

果たして、含水率10%以下のカラマツ無垢材を普通に使えるようになるのか。
実現すれば、建主さん、工務店さんとも安心してカラマツ無垢材を選択することができるでしょう。






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相ジャクリ加工されたカラマツ羽目板。
カラマツの加工したての木地は、温かみのある赤味。



オムニス林産協同組合の加工場外壁はカラマツ無垢板の横張り。無塗装。
風雪に晒され、陽射しによる退色で、よい風合になっています。



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カラマツは生長が比較的速く、耐腐朽性もあり、強度も強いので建築材、構造材に向いていると言えます。
乾燥でネジレるクセさえ克服できれば、安心して皆が利用することができるのです。

オムニス林産協同組合 瀬上さんの試みは、もっと理解され広まり、
カラマツを建築材として使う方が増えることを願います。

十勝で立派に育ったカラマツ。
十勝の人たちの暮らしをより豊かにする使い方をしていきたいと思います。




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木製窓のメンテナンス オスモ(OSMO)

私の家は住み始めてから4年が過ぎました。
そろそろ、木製窓のメンテナンスをしようと思い立ち、
オイルステイン「オスモ」(OSMO)の外部塗装用 ウッドステインプロテクター ローズウッド色を購入。
窓枠の外側をオスモで塗り重ねをします。

気温がまだ高めで湿度も低い秋の空気は、
塗料の乾きを速めてくてるので、塗装をするには好都合なのです。




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オスモのウッドステインプロテクターは外部の木材専用配合。主成分はひまわり油と大豆油。

塗膜を表面につくって防水するウレタンやアクリル樹脂塗料と違い、
自然な植物油が木部に深く浸透することで撥水性を発揮させるオイルステイン。
伸縮や通気性、調湿性などの木の特性が生きつつ、水滴は弾くので、木が蒸れて腐ることを防ぎます。
オスモをはじめオイルステインは、湿度の高い日本の気候により適している木材塗料と言えるのです。




使う前に缶の底に沈殿している顔料(泥状)を、棒を使ってしっかり解き混ぜます。



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木製2重窓の外側の窓枠は、日々、雨や日射しに晒されて、
5年くらい経つとオイルステインの撥水効果も落ちてきます。それに干割れも出てくる頃。






表面が干涸びたような窓枠に、オスモをたっぷりと染み込ませるように塗っていきます。
特に乾いているのが下端の窓枠。スーッと染み込んでいきます。



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このフィンランドで作られた窓「DOMUS」(ドムス)のとてもよいところは、
室内側に開くので、メンテナンスをする時は室内から出来ること。
それに、簡単に窓枠を取り外すことができること。
熱的な性能がよいばかりではなく、メンテナンスにも配慮ある設計なのです。

大きい窓枠は室内側に開いたまま直接塗り、
小さい窓枠は思い切って取り外し、床に寝かせて塗ります。







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塗り放した状態で数十分置き、染み込みきらない塗料は延ばすか拭き取るかします。

6箇所ある我が家のDOMUS。
2時間で塗り終えました。
あとは乾いた秋風に数時間さらすのみ。

よく染み込んだので、10年くらいは塗り重ねなくてもよいかもしれません。




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ウォルナット チェリー ナラ

家具で使う木は、程よい堅さと、杢目の美しさ、木地色のよさなどバランスのよいものが選ばれます。

先日立ち寄った札幌市にあるカンディハウス ショールームで見た、
「ippon」(いっぽん)というブランドの家具は、

「ウォルナット」

「チェリー」

「ナラ」

の中から選べるようになっています。






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サンプルピースは左から「ウォルナット」「チェリー」「ナラ」。






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このテーブルは「ウォルナット」。
ウォルナットは日本に自生している木ならば、「クルミ」(オニグルミ)が近いのではないでしょうか。
真っすぐ素直に育つ樹なので、杢目もハッキリとし、きれいに通ったものが多いと思います。
樹脂分も多いのか艶っぽい木地で、色も濃いピンクから紫にかけてのグラデーションが表れ妖艶な雰囲気。






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このテーブルは「チェリー」の突き板。3ミリ程の薄い板を表面に貼付けた天板です。
チェリーは日本の桜とカバの中間くらい木材となるでしょうか。
杢目が柔らかい感じに見えます。
色も肌色からピンク色にかけてで「ウォルナット」よりはずっと明淡色。



このテーブルは同じ「チェリー」ですが、いろんな幅の板を横つなぎに接着して一枚の板としています。
こうして見ると、小板によって色の差があるのがハッキリわかります。


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この板は「ナラ」。接着を一切していない正真正銘の無垢の一枚板。
この板は特によく表れていますが、ナラの杢目は雄々しいものが多くあるように思います。
それに今回ご紹介した3種類の木の中では最も堅いのがナラ。

薄茶色の木地をよく見ると、導管切り口の小さい穴や、「斑」(ふ)と呼ばれる濃い茶色の斑点も無数に存在。
「ナラ」はクリやカシと同じでタンニンを多く含み、
それが時間が経つと酸化して木地色が濃茶褐色に変化してとてもよい風合いになっていきます。
さらに、タンニンの効果で白蟻や腐朽菌に強い。

森に在っても長寿な樹で、かつて北海道でもナラ(ミズナラ)の巨木がたくさん存在していました。
また、家具となって家に在っても長い年月生き続ける。
そんな「オーク」(ナラやカシ)は、イギリスなどヨーロッパで長寿、繁栄、強さのシンボル。

英国海兵隊の行進曲(Royal Navy March)は、

「Heart of Oak」(ハート オブ オーク)





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日々の手入れ ブラックスレート

私の家のサニタリー(洗面・トイレ・バスの一体室)は、
天井と壁が鉄筋コンクリートの躯体をそのまま表しとし、
床は設備配管のスペースを確保するため床組みをした上、ブラックスレートを貼っています。

陶器とホーローの白い艶と、コンクリートとブラックスレートのマットでアンダーな色と質感が対照的。
このモノトーンで原初的な空間に佇み、考えごとをするものよいものです。




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さて、このサニタリーの床に貼ったブラックスレート。
水かかりが多いので、水に含まれるカルシウムなどのミネラル分や、
石鹸カス(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム)が付着して、
数ヶ月経つと、表面が白っぽくカサカサした感じになっていきます。

そこで1年に1〜2回、このブラックスレートの表面にオリーブオイルを塗っています。
オリーブオイルを塗ると、濡れたような濃い黒になって見た目は上々。



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オリーブオイルを全体に塗って数時間置き、表面に浮いたオイルはきれいに拭き取ります。
それだけの簡単な作業。

「日々の手入れ」はなるべく手軽に、それでいて効果をハッキリ感じられるとやる気が出ます。





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スレート(天然石)の汚れがもっと重い場合は、他に方法がありますのでご安心を。




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