通り抜け土間と朝鮮張りの床(河井寛次郎記念館 その1)

京都東山五条坂にある「河井寛次郎記念館」(かわいかんじろうきねんかん)に行ってきました。
私はこれで三度目の訪問。京都に来るとなると、なぜか寄っていきたくなる場所です。

民藝運動に深く関わった陶匠 河井寛次郎の、今から80年前の昭和12年に建てられた自宅と工房。
河井寛次郎自身の設計で、日本各地の民家を範とし、特に飛騨高山の民家を意識されていたようですから、
京都の町家でありながら、より素朴で簡素そして少し骨太な印象が全体的に漂っていて懐かしくもあります。



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「河井寛次郎記念館」のケヤキ一枚板に白文字の看板は、
棟方志功(むなかたしこう)が描き、黒田辰秋(くろだたつあき)の彫ったもの。

そして、京都 町家のファザード要素が揃い踏み。
「格子戸」(こうしど)
「犬矢来」(いぬやらい)
「簾掛け」(すだれかけ)

しかし、一般的な京都の町家に比べ、格子の隙間は広く、部材寸法も大きい。


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簾(すだれ)のように掛けてありますが、よく見ると葦簀(よしず)でした。
茎に大きな空洞のある、ヨシ、アシ、オギ、ススキなどを編んだよしずの方が遮熱効果はあります。

各所に河井寛次郎特有の感性が垣間みられるのでした。





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入り口の引き戸をくぐると、角平石が敷き並べられた土間通路があります。
突きあたりの引き戸は中庭に続いているようですが、今は通り抜けできず。
とても魅力的な導線なのでとても惜しい。
この土間空間、今は来館受付や靴脱ぎスペースとして機能。
本来の姿ではなくなっていますが仕方ありません。


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土間通路に平行して右手には、10センチ程上がって床板空間が広がっています。
この高さの差はとても好印象。
この家に漂う「敷居が低い」ということを建築的に感じます。


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床板は松でしょうか。よい丸み具合。
杉やトドマツの床板より、少しヒンヤリした肌触りです。
しかし、この艶照りはなかなかよいもの。木材にはそれぞれ違う魅力があります。

床の張り方は、日本では珍しい「朝鮮張り」(ちょうせんばり)を基にした独自のもの。
1尺毎に大引材(角材)が通っていて、その間に床板がはめ込んであります。

朝鮮張りには大引材を井桁に組んだ格子状タイプもあり。
木材が豊富に無かったかつての朝鮮半島で、
板の幅がまちまちでも、板が短くても、見栄えよい床面となるよう工夫された特有の意匠。
土地柄、周辺各国に翻弄されていた朝鮮半島は、フロンティア種の松が常に多くあり、
李朝(李氏朝鮮)の瀟洒な家具も松材で作られていることがほとんど。

この床を見て私は、河井寛次郎の朝鮮文化へのオマージュを感じます。


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板間の応接スペースには、感じのよい囲炉裏(いろり)。
この路端でたくさんの来客と興じ合ったのでしょう。


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その2につづく




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